男の子がもって来たななはっけは、なんのへんてつもない新幹線のおもちゃにみえた。 電池を入れるところと、小さなスイッチがついている。確かにスイッチを動かしても、うんともすんとも言わない。
こりゃ開けてみるしかないなと思った。裏返して、ネジをゆるめれば開くだろう。
ところが、裏を見て愕然とした。ネジ頭のドライバーを差し込む穴が、正三角形をしている。「なんだこりゃあ。初めて見るぞ。」よく見ると、同じ正三角形の穴を持ったネジが、サイズ違いで二種類使ってある。工具箱やドライバーセットを見ても、これに合うものは無い。
「こりゃあ無理だ。すいません。手も足も出ない」と、お母さんに返そうとした。
しかし、男の子はだれにもなおせない「ななはっけ」を、この先生なら何とか出来るはずだと期待している。この子の前では、人間もなおすが、おもちゃもなおす、スーパードクターでいたい。ただの昔のプラモデル好きだとか、今はそんなこともせずに毎晩酔っ払っているだけ だとかいう真実の姿を見せられない。
ネットで調べてみた。
すると、ファーストフード店のおまけや、子どものオモチャによく使われるネジらしく、簡単に分解して、部品やネジを飲み込んだりしないように、あえて開けづらいように使われるネジらしい。情報も結構あり、プラレールでは定番のネジのようだ。
ドライバーも売っている。
この「ななはっけ」に使われているネジのサイズはどれなんだろう。物差しを当て、穴のサイズを測り、ずいぶん悩んだが、結局、
アネックス(ANEX) 三角ネジ用差替式ドライバー2.0×2.2mm
アネックス(ANEX) 三角ネジ用ビット1.6×2.3mm
を発注。これで4サイズ揃う。開かないことはないだろう。
発注するのを見ながら、スタッフがおどろいたり、あきれたりしている。
「君たちにはわからないんだよ。小児科医魂と、プラモ少年の、ダブルの衝動に動かされている僕が」
待つこと数日。三角ネジ用ドライバーが到着した。これで開けられる。2歳の子のオモチャだ。開けたら中身はシンプルに違いない。
そして開けてみた。
え、、、なんだこれ?
続く
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