2013年2月23日土曜日

医会会報の表紙

 筑後小児科医会という、筑後地方の小児科医の集まりがあります。内外の講師を呼び、セミナーを開いて勉強の場を作ったりして、ともに学び助け合おうという集まりです。
 数年前から地区幹事、去年から常任幹事をさせていただいています。常任幹事としての私の仕事は広報。先輩と二人で担当します。筑後小児科医会は2年に一度会報を発行しており、去年がその年に当たっていました。私にとって、最初の会報編集作業です。先輩に一から教わりながら、仕事を進めていきました。
 しかし、いくつかお願いもしました。以前の紙面が何となく読みづらかったので、文字の大きさや余白の広さなどは全くの見直し。いろいろサンプルを用意して意見を募り、変えさせていただきました。全ての目次が会員医師の原稿であったものを、地域の他施設の理解を深め地域連携の第一歩にするために、筑後地区の障害児施設や児童養護施設など、様々な施設の紹介を3〜4施設ずつ載せるようにしました。入会申込書など、あまり使うことのないページをそれなりの場所に置き、緊急連絡網など頻繁に使いそうなページを見つけやすいところに移しました。印刷屋の担当者とのやりとりも始まり、それはそれは楽しい仕事でした。

 表紙は、絵の上手な大先輩が毎号描いていただいていたのですが、老齢で今号から描くことが出来ないとのこと。他の先生に書いていただくことや、写真が趣味の先生の作品を載せることなどが案として出されました。しかし、筑後地区の障害児施設や盲聾学校の子どもたちの絵を載せていきたいと提案し、承認していただきました。
 それから、楽しみに絵を探していたのですが、役員の多数決もあり、ある子どもの蝶の絵に決まりました。できあがってみると、なかなか良い出来だと思っていたのです。その子には多少のお礼もすることが出来ました。

 ある日、その子がいる施設のスタッフが、他の用で吉永小児科を訪れたとき、その子の様子を教えてくれました。

会報の表紙を書いてくれた男の子は、会報を手にして、すごく喜んでくれたようです。
障害児施設の中にいて、それまでおとなしくて、あまり自己主張もしなかった子だったらしいのですが、自分の絵が載った冊子を手にして以来、
どうやら自信がついたようで、明るくなって、いろんな事に積極的になりました。
手に職を付けさせようと 線香並べの仕事をしていますが、すぐに折ってしまうと落ち込んでいた子が、とくに絵のことに関しては、こだわって、妥協せず、将来は絵の仕事がしたいと言っているようです。
彼がいる障害児施設の作業所では、陶器などの製品を作って販売しています。陶器の絵付けなどが出来るようになると良いねと職員と話しているようです。
あの絵が会報の表紙に載ったことで、ひょっとしたら
人生の姿勢や充実感さえも変わった可能性があるよねと共に話しました。

ちょっと胸が熱くなりました。

そして、この会報ができあがったことが、私自身にもなにか生みつつあることに気づくようになりました。この会報によって心に微妙な動きがあった人物は、この男の子だけではなかったようです。また二年後の会報を楽しみに、絵を探していきます。
とはいえ、同じく広報の仕事である名簿作りは、刷り上がってみるとデータが古いことを会員の先生に指摘されたりと、失敗の連続で、少々落ち込み気味でもあるのですが、、、。

2013年2月4日月曜日

小学校で授業

  木曜午後に、近所にある荘島小学校に授業に行ってきました。僕が卒業した小学校です。大きなイチョウの木が、あの頃と変わらずにどーんと立っています。毎年校医として訪問する場所でもあります。 今回は、6年生相手に、「命のエネルギーはどこから来るか」という授業するためでした。校長先生、養護の先生にこちらからお願いして実現しました。前日、できるだけ子どもたちの気持ちをひき付けるようにと、なんとか準備をしました。いつもの専門職相手の講演よりずっと時間は短いのに、なんだか緊張していました。
みんな真剣に聞いている。手もよく上がる

 モーターは電池をつないで動く。冷蔵庫や掃除機はコンセントから。風車は風、水車は水。そんな力を使って動いているけれど、みんなの手足や心臓は、何を使って動いてるんだろうということから話を始めました。授業中、僕は「うんこ」と言うのに、子どもたちは「排泄物」と言うのが面白かったな。

 話の後は、持って行っていた聴診器で、みんなに心臓の音を聴いてもらいました。自分の心臓、友達の心臓、そして私の心臓。二つずつの音が整然と並んでいるのを、初めて聞いた子どもたちは、楽しそうにみえました。
 最後は、自分の身体、他人の身体、どちらも大事にしたいよねと結びましたが、うまく伝わったでしょうか。

胸に聴診器を当て、かわりばんこに聴かせてみる
次の日さっそく養護の先生が医院にみえました。子どもたちの感想文、それから私に宛てたお礼の文集が出来上がっていました。
感想文の中から、いくつか抜粋
校医さんとして、私たちを六年間ささえてくださって、ありがとうございます。
人間は太陽のエネルギーで動いていることを初めて知りました。
心臓の音がどくんどくんとすごかったです
うまれて初めてちょうしん器をはめて、自分の心臓の音を聞いて、なかなか出来ないすごい体験が出来てよかったです。
今日の学習を生かし、自分の命を大切にして生きていきたいです。
僕も医者になりたいと思います。

こんな感想もあった
吉永先生も、お体に気を付けて、お元気でいてください。
これからもお体にきをつけて、むりをせずにがんばってください。
先生は、入試を超えてきているのですごいと思いました。

6年生にもなると、それぞれいろいろ思うこともあるんだね。
新たな元気をもらった気がしました。
また新年度、新しい子どもたちと出会うことを楽しみに、健診に、授業にと行きたいと思います。